(6)どこの軍隊でも慰安婦は付き物

(6)どこの軍隊でも慰安所は付き物

 

1992年に高木健一という弁護士は、「従軍慰安婦と戦後補償」という本の中で、「従軍慰安婦という制度は、日本だけにあったものと言われる。

少なくとも近代軍の中で、戦争の際に、女性たちを同行させ、自分たちの性の処理をさせた軍隊というものは、かってなかった」

と書いています。

しかし、これは間違いであり、どこの国の軍隊でも、慰安所に相当するものは設置しているのです。

 

神名龍子女史は、

 まず、ごく基本的なことからいうと、どこの国の軍隊でも「酒保」と「慰安所」はつきものだということです。もっと平たくいえば「酒と女」ということですが、これは何も日本軍に限った話では、全然ない。

 ところが、いわゆる「従軍慰安婦」問題を持ち出した左翼の言い分では、この基礎知識が欠落していて、まるでかつての日本軍に固有の罪悪だったかのような語られ方をするわけです。

 もちろん、慰安婦や慰安所が、国家の意思と全く無関係に存在したはずはありません。

 ただし、そのことは「誘拐してでも女を連れてこい」という国家意思があったということとは分けて考えなければなりません。 

 この問題の要点は、私の考えではとりあえず2つあって、ひとつは「慰安所」についての基礎知識の欠落ということです。

もうひとつは、賛否のいずれの側に立つにせよ、どうして日本では、この問題が大騒ぎになるのかということです(イタリアやドイツでも、この手の問題が日本ほど大掛かりな形で論じられたとは思えない)

と述べています。

 

1992年7月11日付けの日弁連シンポ報告書では、「近代軍隊の中で、そのような制度(従軍慰安制度)を置いたのは日本軍だけであり・・・人道に対する罪に該当する」と述べています。

しかし、日本のみならず、他国でも、軍の指導者たちは、性病による戦力の低下を防ぎつつ、兵士の性のはけ口を確保するにはどのようにすれば良いのか思案していました。

秦郁彦氏の「慰安婦と戦場の性」によれば、アメリカ・イギリスでは、公娼制度ではなく、私娼中心であり、世論、特に祖国の女性の監視が厳しい状態のために、やむをえず現地人女性に対する買春を黙認する形式でした。

しかし、性病感染の増大は免れなかったということです。さらに婦人部隊の兵士(ピーク時には米国26万人、英国44万人)やナースに代替の役目が期待されたということです。

 

ドイツでは、元々公娼制度があって平時には警察が管理していましたが、戦時にはこれが軍に肩代わりされました。ドイツでは、前占領地における慰安所は、500箇所以上もあり、兵士が利用しやすいように比較的安価だったということです。ドイツでは、第一次大戦で、200万人以上もの性病感染者を出した経験があったため、慰安婦は週に2回の検診を受け、効果もあったということです。  

ですから、日本軍だけが従軍慰安婦制度を敷いたということは、間違いなのです。

 

では、公認の慰安所も私娼もいない場合はどうなるでしょうか。

たとえば、公娼制度のなかったロシア(ソ連)では、最前線の兵士によるレイプを黙認したとされます。

神名女史は

慰安所の設置は国家意思に基づいていました。

これは、軍の統率上の必要から設置されたものであり、軍は国家機関ですから、これも国家意思とみなすことが出来る、ということです。

 この「統率上の必要」というのは、別の表現で言えば「軍規の維持」ということです。

 「酒保」と「慰安所」、つまり「酒と女」がないと、軍隊の長期の駐留というのは、必ず荒れる。

 これは日本軍だけのことではなくて、どこの国の軍隊でも同じことです。

 「荒れる」というのは、些細なものでは軍隊内におけるケンカから、ひどいものでは占領地における強姦、略奪、虐殺にもなる。たとえば1960年代にコンゴへ、ガーナやインドの軍隊が「国連軍」として派遣されていますが、呆れたことに、この「国連軍」が現地で強姦や略奪をやっているわけです。

 このような事態は指揮官の悩みの種でしかありません。

 ですから、「酒保」と「慰安所」の設置というのは重要事項として、どこの国の軍隊でも指揮官が考えるべきことなんです。

 これを守らない軍隊は必ず略奪集団になるといっても過言ではありません。

 ただし、「慰安所」の設置に際して、国家(軍)が誘拐まがいのことをしたというのは、「従軍慰安婦」問題を立ち上げて国家を糾弾したい人たちや、そういう人たちが連れてきた「元慰安婦を称する人」がそう言っているだけで、まったく裏付けがないということを知っておく必要があると思います。

 

と述べています。

 慰安所があってはじめて、軍隊は統率がとれるというわけです。これが無ければ、軍隊は無秩序な乱暴者の集団になってしまい、かえって害を及ぼしてしまうわけです。


  • (7)慰安所の形成
  • (8)なぜ日本で大騒ぎになるのか
  • (9)娼妓さんへの蔑視を含んだ同情
  • (10)従軍慰安婦の賠償問題
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